ペアガラスとトリプルガラス、どちらを採用する?
複層から「トリプル」の時代
前回、「ガラスの性能」という題目でペアガラスとトリプルガラスについて書かせ
ていただきました。
(窓の性能を表す数値を詳しく載せてありますのでご覧になってください。)
結局のところどちらを採用したらよいか。
今回はそこを深堀して書いていこうと思います。
前回書いた通り、やはりトリプルガラスの方が性能が良いのでトリプルガラスを採
用したいと言う考えでは、みなさん同じだと思います。
ですが今はまだ、ペアガラスからトリプルガラスへ移行する分岐点の時で、まだト
リプルガラスの値段が高く、採用を躊躇する方がほとんどだと思います。
いずれ何年か後には、もっと性能の良いガラスが出てきてトリプルガラスの値段が
安くなり当たり前のように採用される日が来ると思いますが、それまではもう少し
時間がかかるでしょう。
「Ⅼow-Eガラスって何?」
Ⅼow-Eガラスをご存知でしょうか?
Ⅼow-Eとは”低放射”を意味し、太陽の放射熱を低減する働きを強化したガラスで
す。
建物を断熱化する上では、放射、伝導、対流、というそれぞれの熱の伝わり方に
合わせた対策が必要で、このⅬow-Eガラスは太陽の「放射熱」への対策になりま
す。
通常のガラス面に薄い金属の膜をコーティングしたもので、遮熱または
断熱の効果を高めます。
弊社はこのⅬow-Eガラスを上手く使い分けて、まだまだ価格の高いトリ
プルガラスと複層ガラスを組み合わせて採用しております。
「Low-Eガラスの仕組み」
Ⅼow-Eガラスは、複層ガラスに挟まれた中空層のどちらか一方のガラス面をコーテ
ィングします。
屋外側のガラスの中空層側にコーティングした場合を「遮熱タイプ」と呼びます。
太陽の放射熱がガラスにコーティングした金属膜で一気に低減されます。
透過できた日射熱の勢いは弱められているため、次の中空層でも更に日射熱を弱め
ます。
この為、室内に侵入する日射熱の量はかなり低減されます。
一方、室内側のガラスの中空層側にコーティングした場合を「断熱タイプ」と呼び
ます。
太陽の放射熱が透明ガラス1枚を隔てただけの中空層にほぼそのまま到達します。
中空層は断熱効果に優れてはいますが日射熱の遮熱効果には、遮熱タイプに劣りま
す。
しかし断熱タイプの金属膜は、室内側の放射熱が屋外に漏れるのを低減するため室
内の温度低下を防ぐこととなり、建物の断熱効果を高めます。
「まとめ」
以上のような特性から、Ⅼow-Eガラスは、室内へ侵入する日射熱をコントロールし
ます。
ただし、金属膜のコーティング面はどちらか一方だけなので、同じ窓での使い分け
はできません。
そこで弊社では、リビングなどの南側に「断熱タイプの複層Ⅼow-Eガラス」を採用
し冬場の日射取得を優先します。
ここでポイントになるのが夏場の日射量を低減するために、庇やブラインドを取り
付けるなど窓とは別の手段で対応することが重要となります。
一方で光が届かず寒さの厳しい北面や、強烈な日差しで一気に温度を上げて室内を
不快にする西面、東面に「遮熱タイプのトリプルⅬow-Eガラス」を採用し、なるべ
く小さい窓で効率化を優先します。
弊社は、オールトリプルガラスにしようとせず、南面の大開口部分を複層ガラスに
して太陽光を取り入れながらコストも抑え、東面、西面、北面はなるべく小さい窓
を効果的に取ってトリプルガラスを採用します。
小さい窓だとトリプルガラスにしても比較的コストを抑えられますので、この組み
合わせが最適だと考えます。
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